冷や飯を食わされる日々
今週のお題「夏の食事」
小さい頃、おばあちゃんが作ってくれた料理に冷や飯があった。冷や飯って普通、出汁とか入れるのかな?どうなんだろう。
うちは、氷水にご飯を入れてただけ。
あっついがらこれけ、と言っておばあちゃんがよく作ってくれたのだが、あんまりうまくなかった。そもそも、おばあちゃんは、器に盛りもせず、具材も入れもせず、プラスチックのボールに入れて出すから、なんだか犬のメシみたいだった。犬のメシのほうが、具材も入ってたけど。
ぼくは、ずっとそうめんが食べたかったんだ、ばあちゃん。でも、ばあちゃんがそうめん飽きたべって言って、あんまり作ってくれなかったから、僕はいつも冷や飯を食わされたんだ。だから、僕は高校生の時、自分は両親の子じゃないと思ったんだ。誰にも言わなかったけど。
誰にも言わずに健気に生きようと思ってたんだけど、両親に会った誰も彼もが、母親と顔が一緒だな、もらい子の心配しなくていいなっていうから、どうやら僕の自己憐憫の何ものでもなかったみたい。
危うく恥かくとこだったんだよ、ばあちゃん。
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