友人に勧められて読んだけど、僕の感性が足りず、イマイチだった本を5冊紹介します
大好きな友人たちがいる。
一緒に走り、インターハイを目指した友人。大学時代の大人でも子供でもない不安定な時期を共にした友人。毎年の予算達成に向けて励む職場の同僚。尊敬する書店員さん。
彼らのセンスも生き方も大好きなのに、共感し得なかった本が幾つかある。
以前働いていた飲食店のソムリエの方が、こんなことを言っていた。
この世に不味いワインはない。もしそのワインが美味しくなかったとしたら、それは、ワインとの出会いが悪かっただけだ、と。だから、ワインを飲むときは、自分に素直になりなさい、と教えられた。
僕の財布の中に大金が入ってなければ、ワンカップみたいにコップで飲むワインが一番美味しいだろうし、大好きな彼女とデートで飲むなら、あなたかっこいいね、って言ってくれるワインが一番美味しいだろう、と。
それから、僕はワインが好きになった。
僕の大好きな知人、友人たちが勧めてくれた本たちも出会いが悪かったと思う。
『風が強く吹いている』
三浦をしん
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: 文庫
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入部した時、僕と彼は同じ速さだった。だが、3年間で彼との差は開いた。僕は県大会止まりで3年間の陸上部時代を終えた。
僕らはほとんど本を読まなかった。3年の夏に僕は本を読み始めた。それから本にハマったが、彼は30歳まで本を読まなかった。
俺たちのインターハイがこの本にあるよ、と教えてくれたのが『風が強く吹いている』だった。
『ナルダがおしえてくれたこと
』
スチュアート・デイヴィッド
- 作者: スチュアートデイヴィッド,Stuart David,田栗美奈子
- 出版社/メーカー: アーティストハウス
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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ベル&セバスチャンの元ベーシストが書いた繊細な青春小説だと言っていいだろうな。
これを紹介してくれたのは、大学時代、いつもずっと一緒に遊んでいた友人だった。彼はいつも輝きに満ちていて、陰影の美しさを知っていた。
音楽も彼が教えてくれたものはかっこよかった。一緒に同人誌を作った。詩を書き、読みあった。
僕らは真夜中の公園でホットコーヒーを飲みながら、空を見て、とても乾いた、透き通った空を見て、柴咲コウと付き合いたいとか、宝生舞が好きだとか、ウィノナライダーがかわいいとか、田中麗奈が随一だとか話した。
ホットコーヒーはアイスコーヒーみたいに冷たくなって、寒くてどうしようもなくなってから、それぞれ家に帰った。
彼はとても繊細で美しくて、純粋な小説がある、と教えてくれたのが『ナルダが教えてくれたこと』だった。あんな風にして、生きてきたんだ、と彼は言った。
『永遠の0』
- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/15
- メディア: 文庫
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特攻隊で亡くなった実の祖父の姿を求め、探す小説。
今の同僚がこの本を貸してくれた。
彼女は本を昔から読み、同じ営業として働いている。僕より少しあとに入社した彼女は実直に仕事をこなす。前向きではない。積極的でもない。ただ、素直に問題と対峙する。
この本は、おもしろいから読んでほしいと教えてくれた。ものすごく、百田尚樹が好きで、その中でも一番おすすめなのだ、と。
『ソーネチカ』
リュドミラ・ウリツカヤ
- 作者: リュドミラウリツカヤ,沼野恭子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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ロシアの女流作家のウリツカヤは、ブッカー賞も受賞している作家。一人の女性の一生を追った物静かで、優しい小説。
この本は、広島の本屋さんに教えてもらった。SNSでたまに文章を書いていた。彼女の文章は美しく、リズミカルだった。優しい人だった。繊細な方だった。もう10年もあっていない。
本屋がもっとかっこよくならなきゃ、とよく言われていた。
彼女はSNS上で『ソーネチカ』を取り上げていた。褒めていた。そうでありたい、と願っていた。
『グラフィックデザインで世界を変える』
アンドリュー・シー
- 作者: アンドリュー・シー
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2013/01/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は、グラフィックデザインを変えることで、社会的なインパクトを与えた実例を紹介した本だ。
これは、僕が熱烈に勧めたけど、全く売れなかった本。僕は、涙を流して読んだ。実例集だけど、熱い想いが伝わる、素晴らしい内容だと思った。
結果は、全く売れなかった。世界を変えなきゃいけない、と僕は思う。まずはグラフィックデザインから学ぼうと思う。