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本のこと、はしること、山形県のこと。

本と本屋さんのことを中心に書こうと思ってます。走るのが好きです。山形県出身です。内容をちょっとづつ調整していってます。

昔読んだ本を覚えてないことを覚えている。

業界の先輩お二方と武蔵小山で飲んだ。場所は、安い立ち飲み屋の代名詞になりつつある晩杯屋本店
少し遅れて着いた頃には、お二方は一、二杯飲まれていた。

お一人は最近長く働いた会社を辞められた。再就職を考えられているらしいのだが、年齢が壁を作ってしまう。経験豊富で人脈も多く、慕われているのだが、それだけでは雇ってくれない時代なのかもしれない。

晩杯屋の一階はとても混んでいたが、椅子のある二階は空いていた。飲み物の出てくるカウンターで腕組みをして男性が待っている。しゃがんでタバコを吸いながら、店の外で話をしている中年のカップル。
立ち飲みでなくても座ればいいのに、と思ったけど、ちょっと飲んでさっと帰りたい気持ちなのかもしれない。
たとえ、待つことで、時間がかかってしまったとしても。

駅に着く。ちょうど最寄り駅で人身事故が起きた。復旧はまだずっと後だ。電車は歩こうと思えば歩ける駅までは通っている。まあ、なんとかなるだろう。

電車は動いたり止まったりしながら進んだ。時間つぶしに携帯電話のスマートフォンを見ている。ブログ、SNS、ニュースサイト。東京オリンピックのエンブレム問題だけは避けるようにして眺める。

画面から目をあげる。酔いが体に回っている。なぜだか、昔、仲よかった女の子のことを思い出していた。睡眠不足だった僕は、彼女と約束した映画をすっぽかしたことがある。しかも寝てたのは、移動中の山手線の中。30分で行ける場所に3時間かけてたどり着いた頃には、彼女の憤慨はすでにピークを超えていた。呆れられていた。

あの頃、東京に必死で走ることができなかった。東京は息苦しくて、少し走ると息が上がってしまった。近くに友人はいなくて、本ばかり読んでいた。

それなのに、あの頃読んでいた本はほとんど忘れてしまった。
たぶん、粋がって理解もできない哲学書ばかり読んでたんだろう。

電車が駅に着いた。小雨が降っていた。ゆっくり、自宅へ向かう。

僕にタフネスとは何か、と問い続けたランナーのメンタルトレーニングという一冊の本。高校時代から読み続けたタフネスの10個の定義をまだ守れているだろうか。

最初にはこう書かれている。

タフネスとは、快適なゾーンを超えて走る意志と技術を見つけることである。

小雨が仕事用のカバンに当たる。東京で見つけたものは、どんな意志と技術だろう。
アルコールの入った足は緩やかに蛇行する。後ろから来る人々に抜かされていく。夜が明るい。車のヘッドライトが照らしている。

ランナーのメンタルトレーニング

ランナーのメンタルトレーニング