雨の日だから、もう少し歩いて本屋へ行こう
雨が降ったら、何処かへ行くのをやめてしまう。傘をさすのが面倒だし、雨で濡れてうざったい。
壁面には変わった形をした棚が備え付けられていて、ディスプレイした本にアクセントを加えている。
山形県にいる頃、雨が体に触れると「うだで」と言った。うざったいみたいなものの方言だと思う。
雨が触れた時、今でもそれ以上適切に、表現できる言葉を持っていない。都会ぶって標準語を使う今でも、雨にうたれると、つい、うだでなぁ、と言ってしまう。
それなのに、雨が降っている日に行った。入り口で女子高生が二人、雨が止むのを待っていた。入り口は開け放たれていて、店長が顔を出す。こんにちは、声をかける。こんにちは、と微笑んで声を返す。
入り口に入るとお勧めしたい本や新刊が並ぶ。そこを見るとなんとなくこの本屋で流行っているものがわかる。
ここへ訪れてくれるのは、近隣の住民の方や働かれている方が多いかな、と店長は教えてくれた。
だとしたら、いま、この辺に住まれている方々の多くは、従来の根を詰めて働くような生き方から変化を求めているのかもしれない。身近な物を愛で、長い時間をかけて使い古していく。そんな時間のサイクルを求めているのかもしれない。
雨が降ったら、傘をさして、少し歩いてみる。うだでなぁ、と独り言して、歩いていたら、効率という魔法から少し解放される。
だが二進法について何ひとつ知っていなくても
僕もきみもプログラマーだ
僕はきみに入力する 途方もない理想を
情報の奔流がすべての秘密を洗い流し
人間が自らの裸の心を
ただそれを見つめざるを得なくなるまで
(谷川俊太郎「我が友コンピューター」『空に小鳥がいなくなった日』)
でも、やっぱり最後はAmazonリンク。
それでも本屋さんまで行って欲しい。
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