安田記念の第四コーナー
スタートしてから、すぐに先頭に立ち、ゴールまで一度も誰の背中も見ない。
理想的で綺麗な勝利。
陸上部で長距離を走ってた頃、何度も試みた。その度、ラスト一周でズルズルと最下位まで落ちていった。
- 作者: 堀江敏幸
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物語の中で競馬の話はそれほどないのに、逃げ馬の背中が脳裏に見えてくる。
逃げ馬は見ていて美しい。
一方、織田作之助の『競馬』は、最終第四コーナーで最後方から最後の直線で全てを抜き去る。
- 作者: 織田作之助
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第四コーナーまで溜め込んだ瞬発力が全く振るわず、見せ場もなく終わることも多いが、どん尻からまくり上がるときの興奮は言葉にしようがない。
- 作者: 宮本輝
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エピソードに入り込んだ競馬の景色は好きでそんな小説はよく読む。
一方、『優駿』のような競馬が主体になると、少し距離を置いてしまう。(宮本は好きな作家なのに)
スポーツはいつもそう、小説を越えてしまう。
僕には『優駿』を越える物語を持った名馬がいる。
日本でもっとも人気のなかった二冠馬。
忘れ去られた天才ジョッキーを表舞台に舞い戻した馬。
小さな生産者。小さな馬主。
ただ、僕の本命はリアルインパクトだった。