本のこと、はしること、山形県のこと。

本と本屋さんのことを中心に書こうと思ってます。走るのが好きです。山形県出身です。内容をちょっとづつ調整していってます。

遅筆堂と『居ごこちのよい旅』

山形から神奈川へ帰る日、川西町にあるフレンドリープラザによった。
そこには、井上ひさしの蔵書が置かれた図書館、遅筆堂文庫がある。


5月だっただろうか。BOOK BOOK OKITAMAという本のイベントで知り合った方が働かれてる。
機会があえば伺おうと思っていた。

ちょっとわがままを言って、井上ひさしの蔵書が眠る書庫に入れさせてもらった。学芸員のかたからお話を伺いながら拝見させてもらう。井上ひさしの凄さに言葉が見つけられない。

山形県の最南部を置賜地方という。
米沢を中心にした、四方を山に囲まれた盆地になっている。
川西町は、盆地の中央に位置している。稲穂が重そうに頭を垂れていた。秋なのだなあ。


深夜バスで帰るつもりだったが、シルバーウィークの煽りを受けて、深夜バスも新幹線も大した価格差がなかった。新幹線で帰ることにした。

旅の道連れは、『居ごこちのよい旅』にした。
旅は一人一人の小説なようなもの。出会うもの、触れるもの全てが出来事になる。
光がいつもより鮮やかに見えたり、物が際立って見えたり、人がいきいきと見えたりする。

高校時代によく走った山へ登った。
置賜盆地が一望できる。秋晴れの澄んだ空に、白い雲が伸びている。
黄色い田んぼが一面に広がり、中心にには最上川が流れている。
なんて美しい土地だろう。
住んでいるときには、気づかないものなのかもしれない。

イザベラバードがこの土地を東洋のアルカディアとよんだ。僕は西洋のことをあまり知らない。西洋にはこれを超えるアルカディアがあるのだろうか。

居ごこちのよい旅

居ごこちのよい旅

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)