旭屋なんばCITY店と『平行植物』
旭屋書店なんばCITY店へ行ってきた。
もしも、本が存在しなければどうなっていただろう。視覚優位な世界は、もっと触覚や聴覚、臭覚や味覚の何かが優位になっていたのだろうか。
豊かな彩りと引き換えに失ったものは、なんだったのだろう。
光を媒介した時、失われてしまう物体。存在するのに存在しないことになったものたち。
言葉を視覚化した文字が、大量に複製頒布されたことで、人の発達は視覚が優位になったと言われている。もう、視覚のイメージなしで、何かを想像することはできない。
だから、本が奪ったものを見たいとは思わないだろうか。
理工書の棚の端にさされた一冊の本は、みんな大好き、『スイミー』の著者、レオ・レオニが書いた『平行植物』。昔からお世話になってる書店員さんが、愛してやまない一冊。
思わず、僕も大好きです、と答えた。大学生だったら、そのままの勢いで付き合ってください、と伝えてたかもしれない。
同じ本が好きな人のことをすぐ好きになる。恋に落ちる。それはきっと本のそばに育つという植物のせいだ。
惚れ薬みたいな花粉が本屋には充満している。同じ小説を手に取ろうとして、互いの手がふれあい、恋に落ちるシーンを今まで何度も見てきた。ドラマでだけど。
その植物は、目には見えないけど、確かにいることを、本屋さんは知っている。
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