秋葉原の色彩は鮮やか過ぎて、物欲に溺れて息も絶え絶えになったこと
それらは、物を持たないことで、豊かな生活を手に入れようとしている。
現代は、物が溢れている。多くの人は手にしたい物を手にすることが容易になった。あまりに簡単になったから、次第に、手に入れなくてもいい物も溢れ、呼吸困難を感じ始めた。
物がなかった頃、そこにあった物は何だったのだろう。その頃、もっと深い呼吸ができていたんじゃないだろうか。
「ない」という存在にうつる「ある」という意識。
世界は0と1でできている。ヴィトゲンシュタインはそう言っている。
コンピューターがその世界を作り出して、この世には、あるかないかだけなのかもしれない、と思うようになった。
ただし、コンピューターに「ない」という存在は表現出来ない。コンピューターにとっては「ない」という存在はない。
昔、空間にはエーテルが満ちていた。「ない」空間をエーテルが埋めていた。それらは光を与えた。
相対性理論がエーテルを消し去り、空間に「ない」ものが生まれる。
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コンピューターは「未知」なら知っている。
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でも、僕らは「未知」と「ない」の差が分かるし、それらを使い分けることができる。
シュレーディンガーの猫は死んでるだろうし、「未知」は「ない」の空間を埋めない。
私の宇宙の限界は、私の言語の限界である
ヴィトゲンシュタインは「論理哲学論考」で書いている。
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ならば、この宇宙には「ない」というものがあるということだ。「ない」という存在に価値観に、美意識を見出し、侘びや寂びと名付けたのもわかる気がする。
「ない」は欠けている。「ない」は不安定だ。だからこそ、美しい。
ミニマルな生活を完成させ、豊かな世界を手に入れた人は、「ない」を手に入れたのだろうか。
むしろ、物欲に悩み、物を捨てられずにいる人の姿にこそ、「ない」が映ることもある。
求めよ、さらばあたえられん。
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なんて、逆説的な言葉なのだろう。