とても艶っぽい景色
今週のお題「梅雨の風景」
梅雨の厚い雲が、太陽の光を遮り、群青色した高い空がかすかに見え隠れする。
梅雨時の世界の彩度は濃く、艶っぽい。
雫の滴る紫陽花の葉は、谷崎潤一郎の『刺青』を思い出させるし、雨が茂みに降る景色は、例えそのシーンがサザエさんの一場面であっても、川端康成の『山の音』が頭によぎる。
一方、田山花袋の『布団』は、結末のヌメッとした陰湿さによって、『布団』というタイトルだけで、梅雨を思い出す。
何れにしても、梅雨のイメージは性的倒錯、という言葉を思い起こさせる。それは、空気に漂う湿気により、物の色彩の濃度が増したことに起因している、と感じているのは、たぶん、正しい。
今日も雨降り。
街の夜、暗がりに漂う湿気は、肌に触れるとひんやりとしていて、なぜだか寂しい。
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