本のこと、はしること、山形県のこと。

本と本屋さんのことを中心に書こうと思ってます。走るのが好きです。山形県出身です。内容をちょっとづつ調整していってます。

とても艶っぽい景色

今週のお題「梅雨の風景」

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雨が上がったばかりの夕焼け。

梅雨の厚い雲が、太陽の光を遮り、群青色した高い空がかすかに見え隠れする。

梅雨時の世界の彩度は濃く、艶っぽい。

雫の滴る紫陽花の葉は、谷崎潤一郎の『刺青』を思い出させるし、雨が茂みに降る景色は、例えそのシーンがサザエさんの一場面であっても、川端康成の『山の音』が頭によぎる。

一方、田山花袋の『布団』は、結末のヌメッとした陰湿さによって、『布団』というタイトルだけで、梅雨を思い出す。


何れにしても、梅雨のイメージは性的倒錯、という言葉を思い起こさせる。それは、空気に漂う湿気により、物の色彩の濃度が増したことに起因している、と感じているのは、たぶん、正しい。


今日も雨降り。

街の夜、暗がりに漂う湿気は、肌に触れるとひんやりとしていて、なぜだか寂しい。


刺青・秘密 (新潮文庫)

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山の音 (新潮文庫)

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蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

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